Configuration Manager を用いて ARM64 の OS 展開を行う – Configuration Manager TP 2311 編

皆さん、こんにちは。

今回は、久しぶりの Microsoft Configuration Manager (Configuration Manager, Microsoft Endpoint Configuration Manager (MECM), SCCM) ネタです。久しく、Configuration Manager について記事を書いておらず、すみません。。。

タイトルにもあるように、OS 展開ネタです。それも、ARM64 の OS を展開するという、かなり胸アツな内容です。この内容を取り上げられる日が来たことにとても感動、興奮しています。

では早速、紹介していきたいと思います。

<概要>

今回の、ARM64 の OS 展開機能は、Configuration Manager Technical Preview (TP) version 2311 にて搭載されたプレビュー機能です。そのため、まだ正式リリースされた機能ではありません。

そして、残念なことに、公式記事にはあまり情報がありません。なので、この記事で詳細を紹介したいと思います。

<前提条件>

・ Configuration Manager Technical Preview (TP) version 2311

・ Windows 11 version 22H2 (ARM64)

・ Windows ADK version 10.1.25398.1 (September 2023)

・ Windows Dev Kit 2023 (Build 26002.1000 (Canary Build) の Hyper-V VM を使用)
(OS 展開先環境)

<Configuration Manager Technical Preview (TP) version 2311 環境を準備する>

まずは、前提となる、Configuration Manager Technical Preview (TP) version 2311 環境を用意しましょう。構築方法は割愛します。

下記のページから、Configuration Manager Technical Preview のインストール イメージをダウンロード出来ます。

https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/download-microsoft-endpoint-configuration-manager-technical-preview

<Windows ADK の準備>

今回の ARM64 の OS を展開する場合は、Windows ADK は少なくとも、10.1.25398.1 (September 2023) をインストールしてください。

これは、x64 emulation on Arm64 WinPE のサポートが必要なためです。

(10.1.25398.1 以下の ADK (Windows PE イメージ) を使うと、ブート イメージから起動した時に、クラッシュして、ブート イメージが起動しません。)

<ブート イメージの準備>

  1. Configuration Manager Technical Preview (TP) version 2311 のインストールされたサーバー上にログオンします。
  2. Windows ADK のフォルダーにインストールされた Windows PE イメージを使うので、下記のファイルを任意のフォルダー (パッケージ ソース フォルダー) にコピーします。
    コピー元 : “C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10\Assessment and Deployment Kit\Windows Preinstallation Environment\arm64\en-us\winpe.wim”
  3. Configuration Manager コンソールを開き、下記のパスを開きます。
    \Software Library\Overview\Operating Systems\Boot Images
  4. 上記のリボンから [Add Boot Image] を選択し、ウィザードを起動します。
  5. [Add Boot Image Wizard] が開きますので、項番 2 でコピーした先の wim ファイルを選択します。
  6. [General] にて [Name] や [Version] に必要事項を入力し、[Next] を選択します。
  7. [Summary] にて、内容が正しいことを確認し、[Next] を選択します。
  8. 追加が終わると、下記の画面が表示されるので、[Close] を選択します。
  9. Configuration Manager コンソールに戻り、追加された Boot Image を右クリックから、[Properties] を選択します。
  10. [Customization] のタブを選択し、[Enable command support (testing only)] にチェックを入れいます。
  11. 次に、[Data Source] タブに移り、[Deploy this boot image from the PXE-enabled distribution point] にチェックを入れて、[OK]
  12. 下記のウィザードが起動するので、指示に従って、実行します。(Yes を選択します。)
  13. [Reload this boot image with the current Windows PE version from the Windows ADK] にチェックは入れず、[Next] を選択します。
  14. [Summary] にて、[Next] を選択します。
  15. 更新が終わると、下記の画面が表示されるので、[Close] を選択します。
  16. Boot Image の準備は完了しました。まだ、Distribution Point (配布ポイント) に配布されていませんので、[Distribute Content] をして、対象の Distribution Point (配布ポイント) に配布しておいてください。(手順割愛)

<OS イメージ (wim) ファイルの準備>

ARM64 用の Windows 11 ISO ファイルは Visual Studio Subscription 等では公開されていません。そのため、入手方法が限られます。今回は下記の方法で ISO ファイルではなく、wim ファイルを入手しました。

※ 下記手順はあくまで検証目的で実施した方法であり、公式の手順では無いことに注意してください。

  1. Configuration Manager コンソールを開き、下記のパスを開きます。
    \Software Library\Overview\Windows Servicing\All Windows Feature Updates
  2. 検索ボックスに、[Windows 11 (business editions), version 22H2 ja-jp arm64] と入力し、表示された更新プログラムを右クリックから [Properties] を選択します。
  3. [Content Information] タブを開き、[.esd] ファイルを選択し、[Ctrl] + [C] キーで、コンテンツをコピーします。
  4. [Ctrl] + [C] で、クリップ ボードにコピーされているので、メモ帳等にその結果を貼り付けて、URL 部分のみ再度コピーして、ブラウザーに貼り付け、esd ファイルをダウンロードします。
  5. ダウンロードが終わったら、下記のコマンドにて、esd ファイルから wim ファイルを生成します。
    dism /export-image /SourceImageFile:"C:\Users\Yutar\Downloads\22621.1.220506-1250.ni_release_clientbusiness_vol_a64fre_ja-jp_32d26af4a8ae58af901073e0b2ea390bc4a20c97.esd" /SourceIndex:4 /DestinationImageFile:"C:\Users\Yutar\Downloads\Windows_11_22H2_Arm64.wim" /Compress:max /CheckIntegrity
  6. 作成された、wim ファイルを、Configuration Manager のパッケージ ソース フォルダーにコピーしておきます。
  7. Configuration Manager コンソールを開き、下記のパスを開きます。
    \Software Library\Overview\Operating Systems\Operating System Images
  8. 上部のリボンから [Add Operating System Image] を選択し、ウィザードを起動します。
  9. ウィザードが起動したら、先ほど作成した wim ファイルをコピーしたパッケージ ソース フォルダーから wim ファイルを選択します。

  10. [Pre-cache settings] にて、必要に応じて選択します。
    残念ながら、現時点では、[ARM64] の選択肢はありませんでした。
  11. [General] にて、必要事項を入力します。
  12. [Summary] にて [Next] を選択します。
  13. 完了すると、下記の表示がされるので、[Close] を選択します。
  14. 作成した、[Operating System Image] を Distribution Point (配布ポイント) に配布します。(手順割愛)

<Task Sequences (タスク シーケンス) の作成>

作成した、Boot Image と Operating System Image を使って Task Sequences (タスク シーケンス) を作成します。(手順割愛)

<Task Sequences (タスク シーケンス) の展開>

作成した、タスク シーケンスを、[All Unknown Computers] に展開したいところですが、[All Unknown Computers] は現時点では、x64 および x86 の Unknown Computer だけになります。

そのため、事前に展開するマシンの MAC アドレスを登録しておく必要があります。

ここで、Windows Dev Kit 2023 の出番です。今回は、Windows Dev Kit 2023 上に構築した Hyper-V VM に OS を展開します。

事前に、VM を作成して、MAC アドレスを固定にしておきましょう。

  1. Configuration Manager コンソールを開き、下記のパスを開きます。
    \Assets and Compliance\Overview\Devices
  2. 上部のリボンから [Create] > [Import Computer Information] を選択します。
  3. [Import single computer] を選択します。
  4. 下記の画面にて、事前に VM を作成した際に固定しておいた、MAC アドレスと [Computer name] を指定します。
  5. その後、ウィザードに従い、コンピューターを登録します。(手順割愛)

コンピューターを作成したら、下記のような Device Collection を作成し、上記の手順で作成したコンピューターをメンバーに含めます。

タスク シーケンスの展開先、Collection は、上記の Collection をターゲットとします。

<Windows Dev Kit 2023 (Hyper-V VM) に OS 展開>

Windows Dev Kit 2023 上の Hyper-V にて、VM を作成し、OS 展開をします。

Windows Dev Kit 2023 上の OS には、Windows 11 Build 26002.1000 (Canary Build) を使用しました。なぜ、Insider Preview Build を使用したかというと、ARM64 マシンのホストの Hyper-V VM で仮想 TPM を利用する場合、Build 25370 以降が必要だからです。

無事、Configuration Manager を用いて、OS 展開が行えました。

<PXE ブートを用いた、ARM64 の OS 展開時のビデオ>

<まとめ>

今回は、Configuration Manager を用いた ARM64 の OS 展開について紹介しました。一部手順を割愛して手抜きをしておりますが、概要は把握できるのではないかと思います。

時間があれば、手順を割愛したところと、ARM64 の OS 展開の状況をビデオにして公開出来ればと思います。第一弾はこの内容でご容赦ください。

Configuration Manager にて、ARM64 の OS 展開が正式にサポートされる日を心待ちにしています!

本日はこの辺で。

2023/12/17 Update

OS 展開時のビデオを記事中に追加しました!