第 12 世代 Dell PowerEdge R820 を Windows Server 2019 にインプレース アップグレードする

皆さん、こんにちは。

今回は、Windows Server のインプレース アップグレードについて取り上げたいと思います。

筆者が利用している検証機のうちの一つが Dell PowerEdge R820 になります。( Dell PowerEdge R820 導入奮闘記 ) 今まで、Windows Server 2016 をインストールして利用していました。しかし、Windows Server 2019 がリリースされたこともあり、今回、インプレース アップグレードを利用して、Windows Server 2019 にしようと思いました。Windows Server 2019 にインプレース アップグレードする作業ですが、Windows Server 2019 がリリースされた当初にやろうと思ったのですが、リリースされた当初のインストール メディアを使ってインストールするとエラー (0xC1900101 – 0x40017) になり、アップグレードできませんでした。インターネット上で調べたところ下記のフォーラムでこの問題について語られていました。

Windows Server 2019 Datacenter boot loops after enabling Hyper-V [TechNet Forums]

第 11 世代 Dell PowerEdge サーバー (R710 等) 上で Hyper-V を有効化している Windows Server 2016 から Windows Server 2019 にアップグレードしようとすると失敗するという内容です。この問題は、Dell PowerEdge R820 にも影響しました。

対処方法は、KB4476976 を適用することです。新規に Windows Server 2019 をインストールする場合は、Windows Server 2019 をインストールしてから KB4476976 を適用して、Hyper-V の機能を有効化すれば OK です。しかし、インプレース アップグレードの際には、KB4476976 を含んだインストール メディアが必要になります。そのため、今回はカスタムのインストール メディアを作成しました。その手順を紹介したいと思います。

Windows Server 2019 のカスタム インストール メディアの作成方法

・準備

まず、Visual Studio サブスクリプション (旧 MSDN サブスクリプション) 等を使い、Windows Server 2019 のインストール メディアを入手します。

TechNet Evaluation Center から評価版のインストール メディアを入手することもできます。

次に、KB4476976 の修正をインストール メディアを含めたいため最新の更新プログラム ( KB4493509 ) を Microsoft Update Catalog からダウンロードします。

    1. 作業用コンピューターを用意して Windows ADK をインストールします。Windows Server 2019 のインストール メディアを作る場合は、Windows 10 バージョン 1809 用の ADK をインストールします。(Windows ADK のインストール ステップの紹介は割愛します。Windows ADK インストールの際は、Deployment Tools がインストールされれば OK です。)
    2. 作業用フォルダーを作成します。
      E:\Work\WIM\mount
      E:\Work\WIM\InstallMedia
      ※ InstallMedia フォルダーにはダウンロードしてきた Windows Server 2019 のインストール メディアの中身をすべてコピーします。
      E:\Work\WIM\2019-04 Cumulative Update for Windows Server 2019 for x64-based Systems (KB4493509)
      2019-04 Cumulative Update for Windows Server 2019 for x64-based Systems (KB4493509) フォルダーには Microsoft Update Catalog からダウンロードした msu を保存します。
    3. スタート メニューから [展開およびイメージング ツール環境] を管理者権限で起動します。
    4. 下記のコマンドを実行し、インストール メディア内のインデックスを確認します。
      dism /get-wiminfo /wimfile:"E:\Work\WIM\InstallMedia\sources\install.wim"


      ※ 今回は、[Windows Server 2019 Datacenter (デスクトップ エクスペリエンス)] に更新プログラムを適用するのでインデックス 4 を使います。

    5. 下記のコマンドを実行し、install.wim をマウントします。
      dism /mount-wim /wimfile:"E:\Work\WIM\InstallMedia\sources\install.wim" /index:4 /mountdir:E:\work\WIM\mount

    6. 下記のコマンドを実行し、KB4493509 を install.wim に適用させます。
      ※ このコマンド実行には 10 分程度かかります。

      dism /image:e:\work\WIM\mount /add-package /packagepath:"E:\Work\WIM\2019-04 Cumulative Update for Windows Server 2019 for x64-based Systems (KB4493509)"

    7. 下記のコマンドを実行し、マウントした install.wim をアンマウントします。
      dism /unmount-image /mountdir:E:\work\WIM\mount /commit

    8. 最後に、下記コマンドで ISO ファイル化します。BIOS モードおよび UEFI モードの両方で起動できるようにしてあります。
      Oscdimg -m -o -u2 -udfver102 -bootdata:2#p0,e,b"E:\Work\WIM\InstallMedia\boot\etfsboot.com"#pEF,e,b"E:\Work\WIM\InstallMedia\efi\microsoft\boot\efisys.bin" "E:\Work\WIM\InstallMedia" "E:\Work\WIM\ja_windows_server_2019_x64_dvd_260a1d93_Custom_KB4493509_Apply.iso"

      E:\Work フォルダーに [ja_windows_server_2019_x64_dvd_260a1d93_Custom_KB4493509_Apply.iso] という名前の ISO ファイルが生成されます。あとは、このカスタム インストール メディアを使ってインプレース アップグレードすれば良いだけです。

【動作確認機種】

このカスタム インストール メディアを使って Windows Server 2016 から Windows Server 2019 にインプレース アップグレードできた機種を下記に記載します。

・ Dell PowerEdge R820

・ Dell PowerEdge R710

・ Dell PowerEdge T410

今回は、Windows Server 2019 のアップグレード時の問題について紹介しました。

もし、Dell 製のサーバーを使っていて、Windows Server 2019 にアップグレードできない場合は今回紹介した方法が有効かもしれません。是非試してみてください。