Windows 10 Enablement Package を展開する – Configuration Manager 編

皆さん、こんにちは。

今回は、以前ご紹介した Windows 10 Enablement Package を Microsoft Endpoint Configuration Manager (MECM, SCCM, Configuration Manager) を用いてクライアントに展開する方法を紹介したいと思います。

Enablement Package については、以前の記事をご覧ください。この記事では、実際の展開手法について紹介します。

<前提条件>

・ Microsoft Endpoint Configuration Manager 導入環境 (本記事では、CB 2111 の環境で紹介します)

・ ソフトウェアの更新ポイント (Software Update Point : SUP) にて下記の項目を同期している

製品 : Windows 10

分類 : Upgrades

<実施の手順>

手順は大きく分けて、2 つあります。

  1. 展開パッケージのダウンロード
  2. Enablement Package を展開

<展開パッケージのダウンロード>

  1. Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [Windows Servicing] > [すべての Windows 機能更新プログラム] を開きます。
  2. 検索ボックスに [イネーブル] (21H1 および 21H2 の場合) もしくは [有効化] (20H2 より前) を入力して検索します。
    ※ アップグレード対象バージョンによって、名称が異なります。(できれば統一してほしかったですが。。。)

  3. 今回は、Windows 10 version 20H2 から Windows 10 version 21H2 へのアップグレードをすることにします。そのため、[Windows 10 バージョン 21H2 x64ベースのシステムへの機能更新 2021-11 イネーブルメント パッケージ経由] を選択し、右クリックにて、[ダウンロード] を選択します。
  4. [ソフトウェア更新プログラムのダウンロード ウィザード] が起動しますので、展開パッケージ (ソフトウェア更新プログラムの実体が格納されているパッケージ) を作成します。
    今回は、既存の展開パッケージを使用するのではなく、新規に展開パッケージを作成します。そのため、[新しい展開パッケージを作成する] と選択し、[名前] とパッケージを置く場所のパッケージ ソースを選択します。その後、[次へ] を選択します。
  5. [配布ポイント] にて、展開パッケージを配布する配布ポイントを右側の [追加] から追加します。配布ポイント追加後、[次へ] を選択します。
  6. [配布の設定] は既定のまま [次へ] を選択します。
  7. [ダウンロードの場所] も今回はインターネットを経由して、Microsoft Update からダウンロードするので、既定の [インターネットからソフトウェア更新プログラムをダウンロードする] を選択して、[次へ] を選択します。
  8. [製品の更新プログラムの言語の選択] でも、既定のまま [次へ] を選択します。
  9. [概要] にて、設定内容が正しいことを確認して、[次へ] を選択します。
  10. 下記のように、ダウンロードが開始されます。(5 分程度かかります)
  11. ダウンロードが完了すると、下記画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。

<Enablement Package を展開する>

前述の手順にて、展開パッケージをダウンロードする事前準備を行いました。これからは Enablement Package を対象のクライアントに展開します。

  1. Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [Windows Servicing] > [すべての Windows 機能更新プログラム] を開きます。
  2. 先ほどと同様に、検索で対象の Enablement Package を見つけます。
  3. 今回のケースでは、[Windows 10 バージョン 21H2 x64ベースのシステムへの機能更新 2021-11 イネーブルメント パッケージ経由] を使うので、選択し、右クリックで、[展開] を選択します。
  4. [ソフトウェア更新プログラムの展開ウィザード] が起動します。
    既定では、[展開名] が下記のスクリーン ショットのようにわかりにくい名称になっていますので、必要に応じて変えてください。

    [展開名] を適宜設定し、事前に作成しておいた Enablement Package を配布したいコレクションを選択し、[次へ] を選択します。
  5. 今回はテストのため、[展開の種類] を [利用可能] に変更しています。
    実運用環境では、[必須] を選択する等、適宜変更ください。
    その後、[次へ] を選択します。
  6. [スケジュール] にて、今回は展開の種類を [利用可能] にしているので、既定で、[ソフトウェアが利用可能な時間] が [直ちに] になっています。そのままの設定で、[次へ] を選択します。
  7. [ユーザー側の表示と操作] では、[再起動後のソフトウェア更新プログラムの展開の再評価動作] にて、[この展開の更新プログラムでシステムの再起動が必要な場合は、再起動後に更新プログラムの展開評価サイクルを実行する] を選択します。
    これは、ソフトウェア更新プログラム適用後に再起動が発生した場合、ソフトウェア更新プログラム適用したという情報が Configuration Manager サーバーに反映されるのを早くするためです。
  8. [アラート] にて、特にアラートは使用しないので、[次へ] を選択します。
  9. [ダウンロードの設定] についても、今回は変更せず、既定のまま [次へ] を選択します。
  10. [概要] にて設定内容が正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
  11. 展開の設定が完了すると、下記画面が表示されるので、[閉じる] を選択します。

<クライアント側での画面>

今回のケースでは、展開の種類を [利用可能] で展開しているので、対象のクライアントのソフトウェア センターから、手動で実行する必要があります。

適用にかかる時間なども測定できればと思うので、[利用可能] にしました。

今回は、以前の記事でも登場した Dell Latitude 5510 の物理マシンに展開してみました。

<簡単なハードウェア スペック>

CPU : Intel Core i5-10310U (vPro)

Memory : 8 GB (DDR4)

SSD : M.2 256GB PCIe NVMe

<アップグレード前のソフトウェアの状態>

Windows 10 version 20H2 (19042.1526)

<インストールにかかる時間>

ソフトウェア センターで [インストール] を押してから、再起動が表示されるまで : 約 1 分

再起動フェーズ : 約 13 分

合計 : 約 14 分

(※ 適用にかかる時間はハードウェア スペックや環境に応じて異なるため、上記の値はあくまで参考値です)

<アップグレード後のソフトウェアの状態>

Windows 10 version 21H2 (19044.1526)

<まとめ>

Enablement Package を用いると、今までのように OS アップグレードに伴い、5 GB 程度のファイルをクライアント PC に展開する必要が無くなります。もちろん条件はありますが、対象の環境でしたら、是非 Enablement Package の利用を検討してみてください。

とても便利です!