皆さん、こんにちは。
この記事が 2025 年最初の記事になります。
2025 年の本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回は、話題の Copilot+ PC を組織で導入する際のことを考え、Configuration Manager を用いて、Arm64 の Copilot+ PC に OS 展開を行う方法を紹介したいと思います。
以前にも、Arm64 向けの OS 展開記事は公開しているので、もし良ければ、
下記の記事も併せてご参照ください。
Configuration Manager を用いて ARM64 の OS 展開を行う – Configuration Manager TP 2311 編
Configuration Manager を用いて ARM64 の OS 展開を行う – Configuration Manager CB 2403 編
<今回の環境>
今回は、OS 展開対象として、Surface Pro (第 11 世代) の実機を用います。
・ Microsoft Configuration Manager CB 2409
・ Windows ADK 10.1.26100.2454 (December 2024)
・ Surface Pro (第 11 世代) + Surface Pro キーボード
・ Surface USB-C Travel Hub を使用 (PXE ブートのため)
・ Windows 11 version 24H2 updated Dec 2024 の OS イメージを使用
では、早速、OS 展開の準備を進めていきましょう。
<Windows ADK の準備>
まず、Configuration Manager をインストールしているサーバー上の Windows ADK を更新します。今回は、Windows ADK 10.1.26100.2454 (December 2024) を使用するので、そのバージョンになっていない場合は、Windows ADK の入れ替え (古いバージョンの Windows ADK をアンインストール、その後、新しい Windows ADK をインストール) を実施してください。
ちなみに、2025/01/13 時点では下記のサポート状況となっています。
<ブート イメージの更新>
Windows ADK を更新したら、ブート イメージを更新します。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [ブート イメージ] を開きます。
- [Boot image (arm64)] が表示されていることを確認します。
- [Boot image (arm64)] を選択して、右クリックにて、[配布ポイントの更新] を選択します。
- [このブート イメージを Windows ADK の現在の Windows PE バージョンを使用して再度読み込む] にチェックを入れ、[次へ] を選択します。
- [概要] にて内容を確認し、[次へ] を選択します。
- 処理が開始されます。
- 完了すると、下記のような画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
- ドライバーを追加していないブート イメージだと、Surface Pro (第 11 世代) の場合、ブート イメージ上で Surface Pro キーボードでの入力や操作、タッチ ディスプレイでの操作が行えませんでした。(Surface USB-C Travel Hub での有線 LAN は認識しました。)
そのため、後述するドライバー追加作業を行ったあとに、ブート イメージにドライバーを追加する必要があります。 - また、オプション コンポーネントが必要な場合は追加します。今回は、OSDComputerName を設定するツールを動かすため、PowerShell コンポーネントも追加しておきます。
(以前は HTA で作成していましたが、Arm64 ブート イメージでは HTA のサポートが無いようなので、PowerShell で作成し直しました。)
以前の記事で追加した、日本語向けフォントと併せて下記のオプション コンポーネントを追加しました。
- また、カスタマイズは下記のように変更しています。
- 一旦、ブート イメージの更新作業はこのくらいにしておきます。あとで、ドライバーを追加します。
<デバイス ドライバーの追加>
今回は、Surface Pro (第 11 世代) に OS 展開を行うので、ドライバーをサイトからダウンロードして、Configuration Manager に登録します。
- 下記のサイトより、msi ファイルをダウンロードします。
https://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=106119参考 : https://support.microsoft.com/ja-jp/surface/surface-%E7%94%A8%E3%81%AE%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%82%92%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%99%E3%82%8B-09bb2e09-2a4b-cb69-0951-078a7739e120 - ダウンロードしたファイルを確認します。
- Mark Of The Web (MoTW) を外すため、[プロパティ] を開き、[許可する] にチェックを入れ、[OK] を選択します。
- ダウンロードした msi を下記のコマンドで展開します。
(TARGETDIR のフォルダーは事前に作成しておきます。)msiexec /a SurfacePro11_Win11_26100_24.091.12892.0.msi TARGETDIR=&amp;amp;amp;amp;amp;amp;quot;E:\temp\SurfacePro11_Win11_26100_24.091.12892.0&amp;amp;amp;amp;amp;amp;quot;
- 展開が完了すると、下記のウィンドウが表示されますので、[Finish] を選択します。
- 今回のパッケージは展開後は、約 1.3 GB ありました。
- 作業用の temp フォルダーに展開したので、Configuration Manager のパッケージ ソース フォルダーにコピーしておきます。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [ドライバー] を開き、[ドライバーのインポート] を選択します。
- [新しいドライバーのインポート ウィザード] が起動しますので、[参照] を選択し、事前準備で展開したドライバー ファイルのあるフォルダーを指定します。
- 項番 7 でコピーしたフォルダーを選択します。
- [ソース フォルダー] にパスが入ったことを確認し、[次へ] を選択します
- ドライバーの検証が始まり、下記の画面が表示されますので、完了するまで、待ちます。(このフェーズは時間がかかります。)
- ドライバー検証が終わると、下記の画面が表示されます。
[カテゴリ] を選択して、インポートするドライバーに分類を付けましょう。
- [作成] を選択します。
- [Surface Pro 11th Edition] というカテゴリを作成しました。
- 作成したカテゴリが選択されていることを確認して、[OK] を選択します。
- [次へ] を選択します。
- ドライバー パッケージを作成するため、[新しいパッケージ] を選択します。
- 必要事項を入力します。その後、[参照] を選択して、ドライバー パッケージのフォルダーを選択します。
- ドライバー パッケージを作成するフォルダーを選択します。
- [パス] が設定されたことを確認して、[OK] を選択します。
- 作成したドライバー パッケージが選択されていることを確認して、[次へ] を選択します。
- [ブート イメージへのドライバーの追加] では、このタイミングではブート イメージにドライバーを含めないので、[次へ] を選択します。
- [概要] にて、内容を確認して、[次へ] を選択します。
- ドライバーのインポートが始まります。
- ドライバーのインポートが完了すると、下記画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
- ドライバー パッケージは、作成後、配布ポイントへ配布しておきましょう。
<ブート イメージへのドライバー追加>
前述したように既定のブート イメージでは、Surface Pro キーボードでの操作が出来ませんでした。そのため、ブート イメージにドライバーを追加していきます。
ブート イメージに追加するドライバーですが、前述した <デバイス ドライバーの追加> で追加した msi のドライバーをすべてブート イメージに追加しましたが、Surface Pro キーボードでの操作は出来ませんでした。ちなみに、画面タッチ操作は可能でした。
そのため、今回は Surface Data Eraser 内に含まれるドライバーを使用します。
Surface Data Eraser は、以前紹介した Surface IT Toolkit にて作成出来ます。Surface Data Eraser の USB メディアの作成方法は上記の記事で紹介しているので、この記事では割愛します。
Surface Data Eraser の USB メディア作成の際には、管理対象デバイスの選択を [Surface Pro 11th Edition] を選択してください。
- Surface Data Eraser USB メディア内の [sources] フォルダー内にある、boot.wim を作業 PC にコピーしてきます。
- 作業用フォルダーを作成します。(今回は、E:\temp\BootWIM フォルダー)
下記のように、[mount] フォルダーおよび [drivers] フォルダーを作成しておきます。
- boot.wim をマウントします。
Dism /Mount-Image /ImageFile:"E:\temp\BootWIM\boot.wim" /Index:1 /MountDir:"E:\temp\BootWIM\mount"
- ドライバーをエクスポートします。
Dism /Image:"E:\temp\BootWIM\mount" /Export-Driver /Destination:"E:\temp\BootWIM\drivers"
- boot.wim をマウントを解除します。
Dism /Unmount-Image /MountDir:"E:\temp\BootWIM\mount" /Discard
- エクスポートしたドライバー ファイルを必要に応じて、Configuration Manager のパッケージ ソース フォルダーにコピーします。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [ドライバー] にて、[ドライバーのインポート] を選択します。
- [新しいドライバーのインポート ウィザード] が開きますので、項番 6 のフォルダーを参照から選択します。
- 下記のように、[ソース フォルダー] を選択したら、[次へ] を選択します。
- 下記画面の表示が消えるまで、待ちます。
- 下記の警告が表示されますが、[OK] を選択します。
- [ドライバーの詳細] が表示されます。
- [デジタル署名されていないドライバーを非表示にする] のチェックを外します。
その後、[カテゴリ] を選択します。
- [管理カテゴリの管理] が表示されるので、[作成] を選択します。
- 管理カテゴリの名前を指定します。
今回は、[DATAERASER Arm64] としています。
- 作成した管理カテゴリが選択されていることを確認して、[OK] を選択します。
- 管理カテゴリが設定されたことを確認して、[次へ] を選択します。
- [パッケージへのドライバーの追加] では、チェックせず、[次へ] を選択します。
- [ブート イメージへのドライバーの追加] でも、チェックせず、[次へ] を選択します。
- [概要] にて、インポートするドライバーを確認して、[次へ] を選択します。
- ドライバーのインポートが始まります。
- ドライバーのインポート完了後に、下記画面が表示されるので、[閉じる] を選択します。
- Configuration Manager コンソールにて、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [ドライバー] を開き、[条件の追加] から [カテゴリ] を追加します。
- 下記の検索条件で [検索] を選択します。
- 更に、[サポートされているプラットフォーム] を表示させます。
- その後、[サポートされているプラットフォーム] でソートします。
- [サポートされているプラットフォーム] が [すべてのプラットフォーム] のものだけすべて選択し、右クリック メニューから [編集] > [ブート イメージ] を選択します。
- [ブート イメージに対するドライバーの追加または削除] ウィザードにて、ドライバーを追加するブート イメージにチェックを入れ、[OK] を選択します。
- 下記画面が表示されますので、[はい] を選択します。
- また、その後、下記の画面も表示されるので、[はい] を選択します。
- 作業が終わると画面が閉じますので、それまで待ちます。
- 一度、Surface Pro (第 11 世代) で PXE ブートして、Surface Pro キーボードにて、マウス操作およびキーボード入力が可能であることを確認しておきます。
<OS イメージの準備および登録>
今回使用する OS イメージは、Windows 11 version 24H2 のイメージを利用します。
以前の記事で紹介したように、Windows 11 version 24H2 では、Arm64 向けのイメージが公開されていることから、ISO ファイルをダウンロードして活用します。
- Visual Studio Subscriptions 等から Windows 11 version 24H2 の Arm64 イメージをダウンロードします。
今回は、Windows 11 version 24H2 updated Dec 2024 Arm64 Japanese イメージを用います。
- ダウンロードした ISO ファイルをマウントします。
- マウントしたドライブの “sources\install.wim” ファイル (“D:\sources\install.wim”) を Configuration Manager のパッケージ ソース フォルダーにコピーします。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [オペレーティング システム イメージ] を開きます。
- 上部のリボンから、[オペレーティング システム イメージの追加] を選択します。
- [オペレーティング システム イメージの追加ウィザード] が開きますので、[参照] にて、項番 3 でコピーしたファイルを選択します。
- ファイルを選択後、[このチェックボックスをオンにすると、このイメージをデバイスに適用するときに、次のいずれかに同意したことになります] にチェックを入れいます。
また、必要に応じて、[指定された WIM ファイルから特定のイメージ インデックスを抽出する] にチェックを入れ、必要なインデックスを選択します。
その後、[次へ] を選択します。
- [事前キャッシュ設定] にて、[言語] と [アーキテクチャ] を選択して、[次へ] を選択します。
- [全般] にて、必要事項を入力して、[次へ] を選択します。
- [概要] にて内容が正しいことを確認して、[次へ] を選択します。
- イメージの追加が始まります。
- イメージの追加が完了したら、[閉じる] にてウィンドウを閉じます。
- 作成した [オペレーティング システム イメージ] を配布ポイントに配布します。
(手順は割愛します)
<タスク シーケンスの作成>
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [タスク シーケンス] を開きます。
- 上部のリボンから [タスク シーケンスの作成] を選択します。
- [タスク シーケンスの作成ウィザード] が起動しますので、[既存のイメージ パッケージをインストールする] にチェックを入れ、[次へ] を選択します。
- [タスク シーケンス情報] にて、[タスク シーケンス名] を入力して、[ブート イメージ] で、作成したブート イメージを選択します。
必要に応じて、[高パフォーマンスの電源プランとして実行する] にチェックを入れ、[次へ] を選択します。
- [Windows のインストール] にて、[イメージ パッケージ] を前述で取り込んだオペレーティング システム イメージ パッケージを選択します。パッケージ選択後、[次へ] を選択します。
- [ネットワークの構成] にて、ドメイン情報を設定して、[次へ] を選択します。
- [Configuration Manager のインストール] にて、[Configuration Manager クライアント パッケージ] を選択します。今回は既定の Configuration Manager クライアント パッケージを使用します。クライアント パッケージを選択後、[次へ] を選択します。
- [状態移行] では、今回は USMT は使用しないので、[ユーザー設定とファイルをキャプチャする] のチェックを外し、[次へ] を選択します。
- [更新プログラムを含める] にて、今回はタスク シーケンス中に更新プログラムはインストールしないので、[ソフトウェア更新プログラムをインストールしない] にチェックを入れ、[次へ] を選択します。
- [アプリケーションのインストール] では、あとでアプリケーションを追加するので、そのまま、[次へ] を選択します。
- [概要] にて、設定内容が正しいことを確認して、[次へ] を選択します。
- タスク シーケンスが作成されると、下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
- 必要に応じて、タスク シーケンスを編集していきます。
- 今回は、以前の記事で紹介したコンピューター名を設定するツールが HTA のため、使用出来ないので、新たに PowerShell ベースを作成しました。そのツールをタスク シーケンスの途中で追加します。記事の最後のあたりにこの PowerShell ベースのツールのダウンロード リンクを付けておきますね。
- 日本語キーボード設定もしておきます。
- ドライバー パッケージ適用タスクを追加します。
必要に応じて、[オプション] にて、条件を追加してデバイスにより分岐することも可能です。詳細は以前の記事の <タスク シーケンスの作成> の項番 13 ~ 19 を参考にしてみてください。
- タスク シーケンスの編集が終わったら、タスク シーケンスを展開します。
今回は、[すべての不明なコンピューター] を対象に展開しました。
タスク シーケンスを展開する際、紐付いているパッケージ類が配布ポイントに配布されていることも確認します。
<実際に Surface Pro (第 11 世代) に OS 展開して動作確認する>
下記の通り、無事、Surface Pro (第 11 世代) への OS 展開が完了しました。
デバイス ドライバーもエラーが無く、すべて認識されました。
OS 展開中の動画も撮影しましたので、是非ご覧ください。
動画は、Microsoft Clipchamp を使用して編集しています。
(720p でエクスポートしているため、動画サイズが約 2.5 GB あるので、再生ボタンを押下する際は、ネットワーク環境にご注意ください。
特にモバイル回線での視聴は控えた方が良いかと思います。)
<PowerShell ベースの OSDComputerName 設定ツール (CM OSD Tagging Tool)>
別記事にて、PowerShell ベースの OSDComputerName 設定ツールの詳細を公開したいと思いますが、それまでの間に、exe ファイルを公開しておきます。
(デジタル署名を付与していないので、ブラウザーでダウンロードする際に警告が表示されますので、ご承知おきください。)
Surface Pro (第 11 世代) 上では、DPI の問題だと思いますが、アプリケーションの画面領域がうまく表示されていませんが、仮想マシンでは下記のように表示されます。
<まとめ>
ようやく、物理マシンへの Arm64 OS 展開記事を公開することが出来ました。(なかなかまとまった時間を確保出来ず、このタイミングになってしまいました。)
ブート イメージへのドライバー適用のフェーズにて苦戦しましたが、それ以外は、以前に Arm64 の仮想マシンへの OS 展開を行ったときと同様でした。
Configuration Manager を用いた OSD においても、Arm64 アーキテクチャへの対応が行われているので、Arm64 デバイスであっても、OSD が行えることをご認識いただければと思います。Configuration Manager を利用して OSD を行っている組織の場合は、この手法を活用して、Copilot+ PC を組織内に展開する準備を始めてみてはいかがでしょうか。
今後、組織において、Arm64 の Copilot+ PC を導入する際には参考にしてみてください。