皆さん、こんにちは。
今回は、OS 展開 (アップグレード) ネタを取り上げたいと思います。
本日 (2019/04/19)、Windows 10 バージョン 1903 (May 2019 Update) が Visual Studio (MSDN) サブスクリプションにて公開されました。また、公式ブログにてもその話題が取り上げられています。
Start developing on Windows 10 May 2019 Update today (Windows Blogs)
そこで、今回は SCCM のタスク シーケンスを用いて、既存の Windows 10 を Windows 10 バージョン 1903 (May 2019 Update) にアップグレードする方法を紹介したいと思います。今回の方法は、ソフトウェアの更新ポイント (WSUS) を用いた方法ではなく、Windows 10 のインストール メディアを用いてタスク シーケンスを使い、OS をアップグレードする方法になります。
【タスク シーケンスを用いた OS アップグレード方法】
<用意するもの>
・ SCCM 環境 (今回は、SCCM CB 1902 を用います)
・ Windows 10 バージョン 1903 のインストール メディア (ISO)
・ Windows Assessment and Deployment Kit (Windows ADK) バージョン 1903
・ Windows 10 をインストールしたクライアント環境 (バージョン 1903 以前)
<事前準備 (Windows ADK の更新)>
まず、SCCM 環境にインストールされている Windows ADK を最新のバージョンに置き換えます。置き換える際には、古い Windows ADK のアンインストールが必要になります。
- コントロール パネルを開き、[コントロール パネル] > [すべてのコントロール パネル項目] > [プログラムと機能] を開きます。
- [Windows アセスメント & デプロイメント キット – Windows 10] を選択し、画面上部の [アンインストール] を選択します。
- アンインストールするか、確認画面が表示されますので、[はい] を選択します。
- アンインストールが完了したら下記の画面が表示されるので、[閉じる] を選択します。
- 次に、[Windows アセスメント & デプロイメント キット Windows Preinstallation Environment アドオン – Windows 10] を選択し、画面上部の [アンインストール] を選択します。
※ [Windows アセスメント & デプロイメント キット Windows Preinstallation Environment アドオン – Windows 10] は、Windows ADK for Windows 10 バージョン 1809 をインストールしている場合に表示されます。それ以前の ADK をご利用中の場合は、[Windows アセスメント & デプロイメント キット – Windows 10] のみが表示されますので、[Windows アセスメント & デプロイメント キット – Windows 10] のみを削除すれば大丈夫です。
- アンインストールするか、確認画面が表示されますので、[はい] を選択します。
- アンインストールが完了すると下記の画面が表示されますので、[Close] を選択し、画面を閉じます。
- OS を再起動します。
- 下記サイトにアクセスし、Windows ADK をダウンロードします。
https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/get-started/adk-install
[Windows ADK for Windows 10, version 1903] と [Windows PE add-on for the ADK] の両方をダウンロードします。 - ダウンロードしたうちの [Windows ADK for Windows 10, version 1903] のセットアップを実行します。下記画面が表示されますので、[このコンピューターに Windows アセスメント & デプロイメント キット – Windows 10 をインストールします] にチェックが入っていることを確認し、[次へ] を選択します。
- 使用状況を Microsoft に送信するか聞かれますので、どちらかを選択し、[次へ] を選択します。
- 使用許諾契約が表示されますので、ソフトウェア ライセンス条項を読み、[同意する] を選択します。
- インストールを行う機能の選択画面が表示されますので、下記を選択します。
・ Deployment Tools
・ User State Migration Tool (USMT)
※ 上記 2 つが選ばれていれば最低限の要件を満たします。他にも必要な機能があれば追加で選択してください。
- インストールが完了すると下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択して画面を閉じます。
- 次に、ダウンロードしておいたファイルのもう一つ、[Windows PE add-on for the ADK] のセットアップを開始します。セットアップを開始すると下記の画面が表示されますので、[Install the Windows アセスメント & デプロイメント キット Windows Preinstallation Environment アドオン – Windows 10 to this computer] を選択し、[Next] を選択します。
- 使用状況を Microsoft に送信するか聞かれますので、どちらかを選択し、[Next] を選択します。
- License Agreement が表示されますので、ソフトウェア ライセンス条項を読み、[Accept] を選択します。
- 機能の選択では、[Windows Preinstallation Environment (Windows PE)] を選択し、[Install] を選択します。
- インストールが完了すると下記の画面が表示されますので、[Close] で画面を閉じます。
- OS を再起動します。
- バージョン 10.1.18362.1 (Windows ADK for Windows 10 バージョン 1903) がインストールされていることが確認できます。
Windows ADK のバージョン履歴は下記のページで確認できます。
WINDOWS 10 ADK VERSION HISTORY
<事前準備 (ブート イメージ更新)>
Windows ADK を更新したら、SCCM のブート イメージを更新する必要があります。
下記では、既定のブート イメージを更新する方法を紹介しますが、カスタム ブート イメージを使っている場合は、カスタム ブート イメージも更新してください。
Configuration Manager でブート イメージを管理する – ブート イメージを使用して配布ポイントを更新する
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [オペレーティング システム] – [ブート イメージ] を開きます。既定のブート イメージ (Boot image (x64) または Boot image (x84)) を選択し、上部の画面から [配布ポイントの更新] を選択します。
- [このブート イメージを Windows ADK の現在の Windows PE バージョンを使用して再度読み込む] にチェックを入れ、[次へ] を選択します。
- 確認画面が表示されますので、[次へ] を選択します。
- ブート イメージが更新されたら、下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択し、画面を閉じます。
- 同様の [配布ポイントの更新] を用いたブート イメージの更新を [Boot image (x86)] やカスタム ブート イメージに対しても行います。
<オペレーティング システム アップグレード パッケージの追加>
タスク シーケンスを作成する前に、オペレーティング システム アップグレード パッケージを追加する必要があります。このオペレーティング システム アップグレード パッケージとは、Windows のインストール メディアを登録する作業となります。
- Visual Studio (MSDN) サブスクリプションからダウンロードしてきた Windows 10 バージョン 1903 の ISO ファイルを SCCM の work フォルダーに配置します。
配置後、ダブルクリックにて、ISO ファイルをマウントします。
- この例では、F ドライブにマウントされました。マウントされたら、ISO の中身をすべて選択し、SCCM で使用している共有フォルダーに移動します。(SCCM で利用する共有フォルダーがない場合は共有フォルダーを作成してください。)
・ コピー先のフォルダー
- コピーが終わったら、ISO をアンマウントします。F ドライブを選択し、右クリックにて [取り出し] を選択します。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [オペレーティング システム] – [オペレーティング システム アップグレード パッケージ] を開きます。その後、画面上部のリボンから [オペレーティング システム アップグレード パッケージの追加] を選択します。
- [オペレーティング システム アップグレード パッケージの追加ウィザード] が開きますので、[参照] を選択します。
- Windows 10 の ISO イメージの中身をコピーした共有フォルダーを UNC パス (\\ServerName\Folder) で指定します。指定できたら、[フォルダーの選択] を選択します。
- [パス] に UNC パスで設定されていることを確認し、[アーキテクチャ] と [言語] を選択します。選択後、[次へ] を選択します。
- [名前]、[バージョン]、[コメント] を入力し、[次へ] を選択します。
- [概要] にて設定内容を確認し、[次へ] を選択します。
- オペレーティング システム アップグレード パッケージの追加が終わると下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択して画面を閉じます。
<タスク シーケンスの作成>
オペレーティング システム アップグレード パッケージを用いたタスク シーケンスを作成します。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [オペレーティング システム] – [タスク シーケンス] を開きます。その後、画面上部のリボンから [タスク シーケンスの作成] を選択します。
- [タスク シーケンスの作成ウィザード] が開きますので、[オペレーティング システムをアップグレード パッケージからアップグレードする] を選択し、[次へ] を選択します。
- [タスク シーケンス名] を適宜設定し、[次へ] を選択します。
- [アップグレード パッケージ] にて [参照] を選択します。
- 先ほど追加したオペレーティング システム アップグレード パッケージを選択し、[OK] を選択します。
- [エディション インデックス] にてアップグレードするエディションを選択します。また、必要に応じて、[プロダクト キー] を入力し、[次へ] を選択します。
- [ソフトウェア更新プログラムを含める] では、[ソフトウェア更新プログラムをインストールしない] を選択し、[次へ] を選択します。
- タスク シーケンスが作成されると、下記の画面が表示されますので、[閉じる] にて画面を閉じます。
- 作成したタスク シーケンスを選択し、右クリックにて [編集] を選択します。
- 必要に応じて、タスク シーケンスを編集します。
<作成したタスク シーケンスの配布>
作成したタスク シーケンスに紐付いているコンテンツを配布ポイントに配布する必要があります。下記の手順で、配布ポイントにコンテンツを配布します。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [オペレーティング システム] – [タスク シーケンス] を開きます。作成したタスク シーケンスを選択し、右クリックにて、[コンテンツの配布] を選択します。
- [全般] にて [次へ] を選択します。
- [配信するコンテンツの確認] にて、配布ポイントに配布するコンテンツを確認し、[次へ] を選択します。
- [コンテンツの配布先の指定] にて右側の [追加] を選択し、[配布ポイント] を選択します。
- 配信する配布ポイントにチェックを入れ、[OK] を選択します。
- チェックを付けた配布ポイントが [コンテンツの配布先] に追加されていることを確認し、[次へ] を選択します。
- [設定の確認] にて配布するコンテンツおよび配布ポイントが表示されていることを確認し、[次へ] を選択します。
- 設定が終わると下記の画面が表示されますので、[閉じる] にて画面を閉じます。
<タスク シーケンスの展開>
ようやく、クライアントにタスク シーケンスを展開するステップです。ここでは、SCCM のコレクションに対して作成したタスク シーケンスを展開します。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [オペレーティング システム] – [タスク シーケンス] を開きます。その後、作成したタスク シーケンスを選択して、右クリックにて、[展開] を選択します。
- [ソフトウェアの展開ウィザード] が開きますので、コレクションの右側にある [参照] を選択します。
- 警告画面が表示されますので、[OK] を選択します。
- タスク シーケンスを展開する先を選択し、[OK] を選択します。
- [コレクション] に展開する先のコレクションが選択されたことを確認し、[次へ] を選択します。
- [展開設定] では、[目的] を [利用可能] に選択し、[次へ] を選択します。
- [スケジュール] では、直ぐに展開するので変更せず、[次へ] を選択します。
※ 必要に応じてスケジュール設定を行ってください。
- [ユーザー側の表示と操作] にては既定の設定のまま、[次へ] を選択します。
- [アラート] の設定項目も既定の設定のまま、[次へ] を選択します。
- [配布ポイント] の設定項目も既定のまま、[次へ] を選択します。
- [概要] にて設定内容を確認し、[次へ] を選択します。
- 設定が終わると下記の画面が表示されるので、[閉じる] を選択し、画面を閉じます。
以上で、サーバー側の設定は完了です。
<クライアント側での動作 (インストール画面)>
クライアント側ではソフトウェア センターにて、タスク シーケンスが表示されます。
- ソフトウェア センターを開き、左側のメニューから [オペレーティング システム] を選択します。選択すると、作成したタスク シーケンスが表示されますので、タスク シーケンスをクリックします。
- 下記画面が表示されますので、[インストール] を選択します。
- 下記の警告画面が表示されますが、[インストール] を選択します。
- インストールが開始され、下記のような画面になります。
- その後、[インストールの進行状況] というプログレス バーが表示されます。
※ 下記の画面が表示されていても、通常の作業は可能です。
- その後、OS が再起動して Windows 10 バージョン 1903 にアップグレードされます。
<アップグレードにかかる時間>
※ 下記の仮想マシンで検証
・ CPU 4 コア
・ メモリ 4 GB
・ ストレージ PCIe SSD 128 GB
・ Windows 10 バージョン 1809
トータル 70 分
(前半のユーザーが操作できる時間、57 分
後半のユーザーが操作できない時間、13 分)
【まとめ】
今回は、タスク シーケンスを用いた OS アップグレードの手法について紹介しました。
Windows 10 バージョン 1903 (May 2019 Update) の展開を行う際は参考にしてみてください。タスク シーケンスを用いたアップグレードの場合はランゲージ パックのインストールやアップグレードに支障があるドライバーやアプリケーションの削除などをタスク シーケンスのステップに追加することで実現できます。必要に応じてカスタマイズしてみてください。