皆さん、こんにちは。
今回は、待望の (?) Microsoft Endpoint Configuration Manager (MECM, SCCM, Configuration Manager) を用いた OS 展開ネタです。今回のデバイスは、Surface Pro 7+ です。Surface Pro 7+ はビジネス向けの Surface モデルとなります。
今回は、日本マイクロソフトさんより、Surface Pro 7+ をお借りしたので、実機を使って Configuration Manager を用いた OS 展開について紹介していければと思います。
<前提条件>
・ Microsoft Endpoint Configuration Manager CB 2111 (KB12896009 適用済み)
・ Windows 10 version 21H2 (x64)
・ Surface Pro 7 + (OS 展開対象のハードウェア)、Surface USB-C Travel Hub を使用
<概要>
Configuration Manager を使用した OS 展開記事は過去にも掲載したことがあります。
Configuration Manager を用いた OS 展開 – Dell Latitude 5510 編
必要に応じて、上記記事もご確認いただければと思います。
今回は、Surface Pro 7+ に展開する方法を記載します。
<OS イメージの登録>
- OS イメージ (ISO ファイル) を Volume Licensing Service Center (VLSC) や Visual Studio サブスクリプション (旧 MSDN) 等からダウンロードしておきます。
評価版の場合は、Microsoft Evaluation Center 経由でダウンロードしておきましょう。
今回は、Windows 10 version 21H2 を用います。
- Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバーにログインして、ダウンロードした ISO ファイルをマウントします。
- マウントした ISO の sources フォルダーに存在する install.wim ファイルを Microsoft Endpoint Configuration Manager で利用する共有フォルダー (パッケージのソース フォルダー) にコピーします。(まだ、Microsoft Endpoint Configuration Manager で利用する共有フォルダーが存在しない場合はまず、共有フォルダーを作成してください。)
コピー元
コピー先
- Configuration Manager コンソールを起動し、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [オペレーティング システム イメージ] を開きます。
その後、[オペレーティング システム イメージの追加] を選択します。
- [オペレーティング システム イメージの追加ウィザード] が開きますので、[参照]
を選択します。
- ファイル選択画面が表示されますので、項番 3 で共有フォルダーに移動した install.wim を選択します。
- [パス] に選択したパスが表示されたことを確認し、パスの下のチェックボックスにチェックを入れ、[指定された WIM ファイルから特定のイメージ インデックスを抽出する] にチェックを入れ、[イメージのインデックス] から [2 – Windows 10 Enterprise] を選択し、[次へ] を選択します。
- 今回のイメージは、日本語の x64 イメージなので、下記のように [言語] を [日本語 (日本)] を選択し、[アーキテクチャ] を [x64] に選択し、[次へ] を選択します。
- [全般] にて、[名前]、[バージョン]、[コメント] を入力し、[次へ] を選択します。
- [概要] にて、内容が正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
- 正常に完了すると、下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
- Configuration Manager コンソールにて、イメージが登録されたことを確認します。
<Surface Pro 7 + ドライバーの追加前準備>
Surface のドライバー ファイルは msi ファイルで提供されています。
Surface Pro 7+ ドライバー ダウンロード サイト
- まず、下記のサイトにアクセスします。
Download Surface Pro 7+ Drivers and Firmware from Official Microsoft Download Center - 2022/03/06 現在最新バージョンは、2022/03/03 リリースの 22.012.28496.0 になります。
[Download] を選択します。
- 今回は、Windows 10 のイメージを使って OS 展開するので、[SurfacePro7+_Win10_18363_22.012.28496.0.msi] を選択してダウンロードします。
- ダウンロードしたファイルには Zone ID が付与されているので、実行前に解除します。
ファイルを選択し、右クリックにて、[プロパティ] を選択します。
- [ブロックの解除] を選択します。
- コマンド プロンプトを立ち上げて、下記のコマンドを実行します。
msiexec /a SurfacePro7+_Win10_18363_22.012.28496.0.msi TARGETDIR=C:\temp\Surface_Pro_7+_Driver
msiexec /a “マイクロソフトのサイトよりダウンロードしてきた msi ファイル名” TARGETDIR=”展開先のフォルダー パス”
- 展開が始まると下記のようにフォルダーとファイルが作成され始めます。
※ 展開には少し時間がかかります。
- 展開が終わると、下記のウィザードが表示されるので、[Finish] を選択します。
- 今回のパッケージは展開後、約 5 GB ありました。
- 今回は、C ドライブの temp フォルダーに展開したので、Configuration Manager のパッケージ ソース フォルダーにコピーしておきます。
<ドライバー インポートおよびドライバー パッケージの作成 (Surface Pro 7+ の場合)>
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [ドライバー] を開き、[ドライバーのインポート] を選択します。
- [新しいドライバーのインポート ウィザード] が起動しますので、[参照] を選択し、事前準備で展開したドライバー ファイルのあるフォルダーを指定します。
- [ソース フォルダー] にパスが入ったことを確認し、[次へ] を選択します。
- ドライバーの検証が始まります。このフェーズは時間がかかります。
- ドライバー検証が終わると、下記の画面が表示されます。
[カテゴリ] を選択して、インポートするドライバーに分類を付けましょう。 - [作成] を選択します。
- [Surface Pro 7+] というカテゴリを作成しました。[OK] を選択します。
- [カテゴリ] が追加されたことを確認し、[次へ] を選択します。
- ドライバー パッケージを新規作成します。[新しいパッケージ] を選択します。
- ドライバー パッケージの名前などを適宜入力し、最後に [パス] のところで、ドライバー パッケージのフォルダーを選択します。
- 新規作成したドライバー パッケージが選択されていることを確認し、[次へ] を選択します。
- ブート イメージにドライバーを含めるか聞かれるのですが、今回はこのフェーズでは追加せず、後で個別に対応しますので、[次へ] を選択します。
- [概要] にて設定内容が正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
- ドライバーのインポートが始まります。この処理には時間がかかります。
- インポートが終わると下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
<ブート イメージへのドライバー追加 (Surface Pro 7+ の場合)>
ブート イメージにドライバーを追加します。既定では、タッチのドライバーが入っていないため、ブート イメージから起動した際に画面タッチが行えません。そのため、追加でドライバーを追加します。
- Configuration Manager コンソールを起動し、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [ブート イメージ] を開きます。
- 今回の Surface Pro 7+ の展開に使う、ブート イメージを選択し、右クリックにて [プロパティ] を選択します。
今回は、[boot image (x64)] という既定で作られているブート イメージを選択しています。 - ブート イメージのプロパティから、[ドライバー] タブを選択し、右側の [*] を選択します。
- [ドライバーの選択] 画面が表示されますので、[記憶域クラスおよびネットワーク クラス以外のドライバーを非表示にする (ブート イメージの場合)] をチェック外し、検索キーワードに [touch] を入れ、[Intel(R) Precise Touch and Stylus (Intel(R) PTS) – Base Driver – Port #1] にチェックを入れ、[OK] を選択します。
- 追加したドライバーが [ドライバー] タブに表示されていることを確認し、[OK] を選択します。
- その後、下記の画面が表示されますので、[はい] を選択します。
- [配布ポイントの更新ウィザード] が開きますので、[次へ] を選択します。
- [概要] にて、内容を確認し、[次へ] を選択します。
この処理には少し時間がかかります。
- 完了すると、下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
<タスク シーケンスの作成>
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [タスク シーケンス] を選択します。
その後、画面上部の [タスク シーケンスの作成] を選択します。
- タスク シーケンスの作成ウィザードが起動しますので、[既存のイメージ パッケージをインストールする] を選択し、[次へ] を選択します。
- タスク シーケンス名を入力し、前の手順で作成したブート イメージを選択します。
物理ハードウェアに展開する際に展開のスピードをアップするために、[高パフォーマンスの電源プランとして実行する] (バージョン 1910 以降で追加) を選択し、[次へ] を選択します。ここでは、前の項目で作成したブート イメージを選択します。
- [イメージ パッケージ] は前の手順で作成した OS イメージを選択し、下記のように設定し、[次へ] を選択します。
- [ネットワークの構成] では、[ドメインに参加] を選択し、必要事項を入力し、[次へ] を選択します。
- [Configuration Manager クライアントのインストール] では、Configuration Manager クライアントのパッケージを選択し、[次へ] を選択します。
- [状態移行の構成] では、USMT を使わないので、[ユーザー設定とファイルをキャプチャする] をチェック外し、[次へ] を選択します。
- [ソフトウェア更新プログラムを含める] では、タスク シーケンス中には更新プログラムを適用しないので、[ソフトウェア更新プログラムをインストールしない] を選択します。
- [アプリケーションのインストール] では、必要に応じて、アプリケーションを追加してください。今回は追加せず、[次へ] を選択します。
- [設定の確認] で設定内容が正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
- 正常にタスク シーケンスが作成されると下記画面が表示されますので、[閉じる] を選択します。
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [タスク シーケンス] を開きます。
作成したタスク シーケンスを選択し、[編集] を選択します。 - タスク シーケンス エディターが起動しますので、[デバイス ドライバーの適用] を選択し、[オプション] から [このステップを無効にする] を選択します。
- [追加] > [ドライバー] > [ドライバー パッケージの適用] を選択し追加します。
- 名前を適宜設定します。[ドライバー パッケージ] は先ほど作成した Surface Pro 7+ 用のドライバー パッケージを選択します。
- [オプション] を開きます。
- [条件の追加] > [WMI に照会する] を選択します。
- 下記のように設定します。
Select * FROM Win32_ComputerSystem WHERE Model = "Surface Pro 7+"
- 下記のように追加されたことを確認します。
- 日本語キーボードを設定するため、[オペレーティング システム イメージの適用] を選択し、[レイヤー ドライバーを選択する] で [日本語キーボード (106/109 キー)] を選択します。
- 必要に応じて、追加の設定を実施します。
例えば、タスク シーケンス展開時にコンピューター名を付与する方法【HTA 編】
- 必要な設定が終わったら、[OK] でタスク シーケンス エディターを閉じます。
<タスク シーケンスの展開とコンテンツの配布>
- Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [タスク シーケンス] を開き、対象のタスク シーケンスを選択します。
タスク シーケンスを選択し、[展開] を選択します。
- 展開先のコレクションを [すべての不明なコンピューター] を選択し、[次へ] を選択します。
- [目的] を [利用可能] にして、[利用できるようにする項目] を [メディアと PXE のみ] にして、[次へ] を選択します。
- 直ぐに展開したいので、スケジュールはそのままにして、[次へ] を選択します。
- [ユーザー側の表示と操作] はそのままにして、[次へ] を選択します。
- [アラート] もそのまま、[次へ] を選択します。
- [配布ポイント] もそのまま、[次へ] を選択します。
- [概要] にて設定内容が正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
- 完了すると下記のウィザードが表示されますので、[閉じる] を選択します。
- [コンテンツの配布] も行います。[次へ] を選択します。
- 配布するコンテンツが正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
- コンテンツの配布先の配布ポイントを追加します。追加後、[次へ] を選択します。
- [設定の確認] にて、配布先の配布ポイントが正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
- 設定が終わると、下記の画面が表示されますので、[閉じる] にて画面を閉じます。
<PXE ブートにて、タスク シーケンスを展開する>
ここからは、Surface Pro 7+ の実機を用いて展開します。
Surface Pro 7+ 単体では、LAN 端子が無いので、今回は USB type-C にて、Surface USB-C Travel Hub を接続して PXE ブートします。ちなみに、Surface シリーズは純正の LAN アダプターでないと PXE ブートできないのでご注意ください。
- Surface Pro 7+ で、音量のマイナス ボタンと電源ボタンを押して起動します。
- ブート イメージをローディングします。
- タスク シーケンス ウィザードが起動しますので、[Next] を選択します。
- 対象のタスク シーケンスを選択し、[Next] を選択し、タスク シーケンスを実行します。
- OS 展開の途中でファームウェアの適用が始まりました。
(しかし、一回目は最後の BitLocker 有効化フェーズで LAN アダプターが IP を取らなくなり、タスク シーケンスが失敗に)
- その後、OS 展開が完了します。
OS 展開所要時間 (PXE ブート開始から OS ログインまで) : 約 25 分
かなり、短時間で OS 展開が終わりました。アプリケーションのインストールなどが入っていないタスク シーケンスのためか、結構早いです。
<まとめ>
今回は、ビジネス向けの Surface Pro 7+ にて OS 展開をする手法を紹介しました。今回は基本編なので基本の OS 展開の手法のみとなります。今後は、Surface アプリ (UWP) を OS 展開中にインストールする方法などについても紹介したいと思います。まずは、基本的な点について紹介したので、Surface Pro 7+ をこれから展開する方は参考にしてみてください。引き続き、Surface Pro 7+ を用いた記事を掲載していく予定ですので、お楽しみに!
素敵な OS 展開ライフを!