皆さん、こんばんは。
今回は、Microsoft Endpoint Configuration Manager (MECM, SCCM, Configuration Manager) をインストールしているサーバー環境の OS (Windows Server) アップグレードについて検証してみましたので、その内容について、紹介します。
ちなみに、Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバーの SQL Server アップグレードについては、別記事で公開しているので、もし良ければ、ご覧ください。
本記事の背景ですが、Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバーの OS サポート期限が短くなってきたり、古い Windows Server に Microsoft Endpoint Configuration Manager をインストールしているケースなどがあると思いますので、今回、OS アップグレード (インプレース アップグレード) について検証してみました。私の自宅のラボでは、Windows Server 2016 なので、この機会に Windows Server 2022 にアップグレードしてみました。
<環境>
・ Windows Server 2016 (14393.5192) > Windows Server 2022 (20348.768)
・ Microsoft Endpoint Configuration Manager CB 2203 (KB14480034 適用済み環境)
・ SQL Server 2019
<公式ドキュメント>
Configuration Manager をサポートするオンプレミス インフラストラクチャのアップグレード
※ 公式ドキュメントには、OS アップグレード前に WSUS の役割を削除することが記載されていますが、Windows Server 2016 から Windows Server 2022 へのインプレース アップグレードの場合は、前提条件チェックではじかれなかったので、役割を削除せず、アップグレードしています。
<事前準備>
Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバーの環境のバックアップを取ります。(今回の環境は、Hyper-V 上の VM のため、チェックポイントを取り、バックアップ同等とします)
Hyper-V や VMware の仮想環境上で Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバーを稼働させている場合は、VM の構成バージョンを上げておくことを忘れないようにしてください。
- Hyper-V マネージャーで、対象の VM を選択します。
(今回の VM は、構成バージョンが 8.0 でした)
- 対象の VM を選択し、[構成バージョンのアップグレード] を選択します。
- 警告メッセージが表示されるので、[アップグレード] を選択します。
- 構成バージョンがアップグレードされたことを確認します。
- 対象の VM のチェックポイントを取ります。
<OS アップグレードの前のサービス停止>
- OS アップグレードの前に、Microsoft Endpoint Configuration Manager 関連のサービスおよび、SQL Server の関連サービスを止め、無効にします。
サービス (services.msc) を開きます。 - 下記の表示にある SMS で始まるサービスが対象です。
- 各サービスの [プロパティ] を開き、[停止] を選択します。
- 次に [スタートアップの種類] を [無効] にし、[OK] で画面を閉じます。
- このステップを SMS とつくサービスすべてで実行します。
下記のように設定します。
- 次に SQL Server 関連のサービスを停止し、無効にします。
- 各サービスの [プロパティ] を開き、[停止] を選択します。
※ サービスによっては依存関係があり、下記のようなメッセージが表示されますが、[はい] を選択します。
- 各サービスの [スタートアップの種類] を [無効] にし、[OK] を選択します。
- SQL Server と名前のつく、サービスをすべて同じように対応し、下記のスクリーン ショットと同様に設定します。
<OS アップグレード作業>
- 対象 OS (Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバー) に Windows Server 2022 のメディア (ISO ファイル) を挿入します。(Hyper-V の場合は、ISO ファイルを挿入します。)
[setup.exe] を実行します。
- [Windows Server のインストール] 画面が表示されるので、必要に応じて、[インストールの品質向上に協力する] にチェックを入れ、[次へ] を選択します。
- [プロダクト キーを入力してください] 画面が表示されるので、適切なプロダクト キーを入力し、[次へ] を選択します。
- [イメージの選択] にて、[(デスクトップ エクスペリエンス)] が付いた方を選択し、[次へ] を選択します。
- ライセンス条項が表示されるので、熟読し、[同意する] を選択します。
- [引き継ぎ項目を選んでください] の画面にて、今回はインプレース アップグレードのため、[ファイル、設定、アプリを保持する] を選択し、[次へ] を選択します。
- Dynamic Update (動的更新) が有効になっているので、最新の更新プログラムがダウンロードされます。
- 準備が整うと、[インストール準備完了] が表示されますので、[インストール] を選択します。
- インストールが開始されます。
- 無事、OS のアップグレードが成功しました!
OS アップグレードにかかった時間
17:40 スタート
20:30 アップグレード完了
約 2 時間 50 分
<OS アップグレード後の後処理>
- まず、サーバー マネージャーを開き、Windows Server Update Service の構成が必要なことを確認します。
[インストール後のタスクを起動する] を実行します。
- しかしながら、処理に失敗します。これは、私のラボ環境では、WSUS の DB (SUSDB) を SQL Server でホストしているためでした。OS アップグレードの前に SQL Server サービスを停止していたので、まず、SQL Server サービスを開始する必要があるからです。(SUSDB に繋がらないと構成が失敗する)
- そのため、先に SQL Server サービスなどを起動します。
サービス (services.msc) を起動します。 - サービスの開始については、SQL Server 関連のサービスから起動します。
- 各サービスのプロパティを開き、[スタートアップの種類] を OS アップグレード前の状態に戻します。([自動])
- また、各サービスを開始するため、[開始] を選択し、[OK] で閉じます。
- この手順を各 SQL Server 関連サービスで実施し、下記のスクリーン ショットにあるような状態にします。
- 次に、SMS 関連 (Microsoft Endpoint Configuration Manager) のサービスも元の状態に戻していきます。
- SMS 関連のサービスのプロパティを開き、[スタートアップの種類] を元の状態 ([自動]) に戻します。
- サービスを開始するため、[開始] を選択し、[OK] で閉じます。
- 下記のスクリーン ショットのような状態に設定します。
- 再度、サーバー マネージャーに戻り、Windows Server Update Service の構成を実行します。
今度は成功しました。
- 最後に、Configuration Manager コンソール を開き、[監視] > [概要] > [システムのステータス] > [サイトのステータス] にて、各種役割が問題ないことを確認します。
(下記のスクリーン ショットでは、[重大] が 2 つありますが、無視して良いエラーですので、問題ありません。)
- あと、[Windows Deployment Services] (WDSServer) が起動していなかったので、手動でサービスを開始しました。
- また、OS アップグレード成功後に一度、OS 再起動を行いました。
<番外編>
Windows Server 2016 の時に、Microsoft Endpoint Configuration Manager サーバーからのメール通知のため、IIS (Internet Information Services) の SMTP リレーを設定していましたが、Windows Server 2022 では利用出来なくなったようです。
<まとめ>
今回、Microsoft Endpoint Configuration Manager のサーバー OS をアップグレードすることを検証し、手順を掲載しました。Microsoft Endpoint Configuration Manager を長期に利用している場合、OS アップグレードの機会が発生すると思いますので、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
今回は比較的問題なくアップグレード出来ましたが、はまるポイントはいくつかあるので、ご注意ください。