SCCM を用いた新元号対応の更新プログラムの配信方法の紹介

皆さん、こんにちは。

今回は、SCCM (System Center Configuration Manager) ネタです。2019/04/26 に公開された新元号対応の更新プログラムを SCCM のソフトウェア更新プログラム (ソフトウェアの更新ポイント) を用いてクライアントに展開する方法を紹介します。SCCM のパッケージ機能を用いて展開するやり方は下記のページをご参照ください。

SCCM を用いた更新プログラム (KB4346783) の配信 – パッケージ編

また、WSUS (Windows Server Update Services) を用いて更新プログラムを展開する場合は下記のページをご参照ください。

WSUS を用いた新元号対応の更新プログラムの配信方法の紹介

まずは、新元号対応の更新プログラムのおさらいです。

<新元号対応の更新プログラム>

Windows バージョン サポート技術情報 提供形態
Windows Server 2008 SP2 KB4493460

KB4496879

マンスリー ロールアップのプレビュー

セキュリティのみの更新プログラム

Windows 7 SP1 および Windows Server 2008 R2 SP1 KB4493453

KB4496880

マンスリー ロールアップのプレビュー

セキュリティのみの更新プログラム

Windows Server 2012 KB4493462

KB4496877

マンスリー ロールアップのプレビュー

セキュリティのみの更新プログラム

Windows 8.1 および Windows Server 2012 R2 KB4493443

KB4496878

マンスリー ロールアップのプレビュー

セキュリティのみの更新プログラム

Windows 10 バージョン 1507

(Windows 10 Enterprise LTSB 2015)

KB4498375
Windows 10 バージョン 1607 および Windows Server 2016

(Windows 10 Enterprise LTSB 2016)

KB4493473
Windows 10 バージョン 1703 (Enterprise、Education Edition のみ) および Windows Server バージョン 1703 KB4493436
Windows 10 バージョン 1709

(Enterprise、Education Edition のみ)

KB4493440
Windows 10 バージョン 1803 および Windows Server バージョン 1803 KB4493437
Windows 10 バージョン 1809、Windows Server 2019、および Windows Server バージョン 1809

(Windows 10 Enterprise LTSC 2019)

2019/04/26 現在未リリース
2019/05/02 リリース
KB4501835

2019/05/04 リリース (KB4501835 の
変更を包含する更新プログラム
)

KB4495667

Windows 10 バージョン 1903 KB4497093


2019/05/08 更新
今回リリースされた、新元号対応の更新プログラムにてフォントの変更に伴い、一部で不具合の報告が上がっています。

2019/4/26のWindows 新元号(令和)対応パッチでのフォント変更?での不具合調査(Windows 7, 10 1803, .NET, Excel) [Qiita]

When applying the CU described in “new Japanese era Windows updates-KB 4469068”, the Form And Control width of a Windows Forms application using MS UI Gothic becomes larger (Rate “1.1666”) [Developer Community]

2019/5/4のアップデート以降、Excelファイルの列の幅が縮んで表示される [マイクロソフト コミュニティ]


2019/05/15 更新

2019 年 5 月の月例セキュリティ更新プログラムにて、上記のフォントの不具合の修正がされました。これにより、下記に紹介する、5 月の月例セキュリティ更新プログラムを適用すれば、新元号対応と報告されていたフォントの不具合が修正されます。

Addresses an issue that may cause the text, layout, or cell size to become narrower or wider than expected in Microsoft Excel when using the MS UI Gothic or MS PGothic fonts.

May 14, 2019—KB4494441 (OS Build 17763.503) [Microsoft サポート]

2019 年 5 月の月例セキュリティ更新プログラム一覧

下記の 5 月の月例セキュリティ更新プログラムを適用することでも新元号対応可能です。(セキュリティのみの更新プログラムにも新元号対応が含まれています。)

Windows バージョン サポート技術情報 提供形態 フォント修正の記述あり
Windows Server 2008 SP2 KB4499149

KB4499180

マンスリー ロールアップ

セキュリティのみの更新プログラム

あり

なし

Windows 7 SP1 および Windows Server 2008 R2 SP1 KB4499164

KB4499175

マンスリー ロールアップ

セキュリティのみの更新プログラム

あり

なし

Windows Server 2012 KB4499171

KB4499158

マンスリー ロールアップ

セキュリティのみの更新プログラム

あり

なし

Windows 8.1 および Windows Server 2012 R2 KB4499151

KB4499165

マンスリー ロールアップ

セキュリティのみの更新プログラム

あり

なし

Windows 10 バージョン 1507

(Windows 10 Enterprise LTSB 2015)

KB4499154 なし
Windows 10 バージョン 1607 および Windows Server 2016

(Windows 10 Enterprise LTSB 2016)

KB4494440 あり
Windows 10 バージョン 1703 (Enterprise、Education Edition のみ) および Windows Server バージョン 1703 KB4499181 あり
Windows 10 バージョン 1709

(Enterprise、Education Edition のみ)

KB4499179 あり
Windows 10 バージョン 1803 および Windows Server バージョン 1803 KB4499167 あり
Windows 10 バージョン 1809、Windows Server 2019、および Windows Server バージョン 1809

(Windows 10 Enterprise LTSC 2019)

KB4494441 あり
Windows 10 バージョン 1903 KB4497936 あり

2019 年 5 月のセキュリティ更新プログラム (月例) [日本のセキュリティチーム]


※ Microsoft Update カタログからのインポート作業が必要なのは、4 月にリリースされた新元号対応の更新プログラムです。5 月の月例セキュリティ更新プログラムはインポート作業は必要ありません。

■ SCCM を用いた新元号対応の更新プログラムの展開方法

今回公開された新元号対応の更新プログラムは、通常では SCCM に同期されず、[すべてのソフトウェア更新プログラム] には表示されません。(マンスリー ロールアップのプレビューは、分類項目の [更新] にチェックが入っていればカタログ同期されます。)

そのため、WSUS (Windows Server Update Services) 管理コンソールで Microsoft Update カタログ サイトから対象の更新プログラムをインポートする必要があります。その後、SCCM にカタログを同期させ、SCCM から各クライアントに展開するという流れです。

<WSUS 管理コンソール上での Microsoft Update カタログ サイトからインポート作業>

  1. SCCM サーバーにログオンし、Windows Server Update Services 管理コンソールを開きます。その後、左上のメニューから WSUS サーバーのコンピューター名を選択し、右側のメニューの中から [更新のインポート] を選択します。
  2. Microsoft Update カタログ サイトが開きますので、右上の検索ボックスに、展開する更新プログラムの KB 番号を入力し、[検索] を選択します。
    (この例では、KB4493437 を検索しています。)
  3. 検索結果に更新プログラムの一覧が表示されますので、必要な更新プログラムを見つけ、右側の [追加] ボタンを選択します。
  4. 追加が完了したら、右上の [バスケットの表示] を選択します。
  5. [直接インポート Windows Server Update Services] にチェックが入っていることを確認し、[インポート] を選択します。
  6. 更新プログラムのインポートが完了すると下記の画面が表示されますので、[閉じる] で画面を閉じます。
  7. Windows Server Update Services 管理コンソールに戻り、左上のメニューから [更新プログラム] を選択し、右クリックで、[検索] を選択します。
  8. [文字列] にインポートした更新プログラムの KB 番号を入力し、[検索開始] を選択します。検索結果にインポートした更新プログラムが表示されることを確認します。

上記の作業で Microsoft Update カタログ サイトから WSUS へのインポートは完了です。

次に、WSUS にインポートした更新プログラムのカタログ情報を SCCM に同期する必要があります。

<WSUS から SCCM へ更新プログラムのカタログ情報を同期させる>

  1. Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [ソフトウェア更新プログラム] – [すべてのソフトウェア更新プログラム] を開きます。
  2. 上部のリボンから、[ソフトウェア更新プログラムの同期] を選択します。
  3. WSUS との同期が完了するまで待ちます。同期が完了すると、[監視] – [概要] – [ソフトウェアの更新ポイントの同期ステータス] にて [同期ステータス] が [完了] と表示されます。
    [ソフトウェアの更新ポイントの同期ステータス] の [同期ステータス] が [完了] になるまで時間がかかります。下記のログを追いかけると、同期の状態が分かります。ログ:
    C:\Program Files\Microsoft Configuration Manager\Logs\wsyncmgr.log
  4. Configuration Manager コンソールにて、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [ソフトウェア更新プログラム] – [すべてのソフトウェア更新プログラム] を開きます。
  5. 検索ボックスに、インポートした更新プログラムの KB 番号を入力し、[検索] を選択します。インポートした更新プログラムが表示されることを確認します。

<SCCM からインポートした更新プログラムをクライアントに展開する方法>

  1. Configuration Manager コンソールを開き、[ソフトウェア ライブラリ] – [概要] – [ソフトウェア更新プログラム] – [すべてのソフトウェア更新プログラム] を開きます。
  2. 検索ボックスにインポートした更新プログラムの KB 番号を入力し、[検索] を選択します。
  3. 検索結果から展開したい更新プログラムを選択し、右クリックにて [展開] を選択します。(複数選択することも可能です。)
  4. [ソフトウェア更新プログラムの展開ウィザード] が開きますので、[コレクション] の右側にある [参照] を選択します。
  5. 更新プログラムを展開する先のコレクションを選択し、[OK] を選択します。
    (この例では、Windows 10 バージョン 1803 のコンピューターがまとめられているコレクションに展開します。)
  6. [コレクション] が選択されたことを確認し、[次へ] を選択します。
  7. [展開設定] にて [展開の種類] を [利用可能] にします。設定後、[次へ] を選択します。
    (この例では、展開テストのため、ソフトウェア センターに更新プログラムを表示させ、手動でインストールさせたいために利用可能にしています。本番展開などで強制的に更新プログラムを適用させたい場合は、[必須] を選択してください。)
  8. [スケジュール] は、既定の [ソフトウェアが利用可能な時間] が [直ちに] を選択し、[次へ] を選択します。
  9. [ユーザー側の表示と操作] は、[すべての通知をソフトウェア センターで表示し、ユーザーにもすべて通知する] を選択し、[次へ] を選択します。
  10. [アラート] は既定のまま、[次へ] を選択します。
  11. [展開パッケージ] では、[新しい展開パッケージを作成する] を選択し、[名前] を適宜設定します。(既に展開パッケージがある場合は、[展開パッケージを選択する] を選択してください。)
    [名前] を設定後、[パッケージ ソース] の [参照] を選択します。
  12. SCCM のコンテンツ共有フォルダーの中にパッケージ専用のフォルダーを作成し、そのフォルダーを選択します。(例では、[Japanese Era Software Updates] というフォルダーを作成しています。)
  13. [パッケージ ソース] の欄にアドレスが入力されたことを確認し、[次へ] を選択します。
  14. [配布ポイント] にて、右側の [追加] > [配布ポイント] を選択します。
  15. 更新プログラムを配置する配布ポイントにチェックを付け、[OK] を選択します。
  16. 選択した配布ポイントが追加されたことを確認し、[次へ] を選択します。
  17. [ダウンロード場所] では、[インターネットからソフトウェア更新プログラムをダウンロードする] を選択し、[次へ] を選択します。
  18. [言語の選択] では、既定のまま、[次へ] を選択します。
  19. [ダウンロードの設定] では、既定のまま、[次へ] を選択します。
  20. [概要] にて、設定内容が正しいことを確認し、[次へ] を選択します。
  21. 更新プログラムのダウンロードが終わると下記の画面が表示されますので、[閉じる] で画面を閉じます。

上記の作業完了後、クライアント側のソフトウェア センターに、更新プログラムが表示されます。

<まとめ>

今回は、新元号対応の更新プログラムを SCCM のソフトウェア更新プログラム (ソフトウェアの更新ポイント) を用いてクライアントに展開する方法を紹介しました。新元号対応の更新プログラムは現時点で、オプション扱いの更新プログラムになるので、通常のカタログ同期だけでは配信できません。Microsoft Update カタログからカタログ情報をインポートする必要があります。今回紹介した方法が少しでも役に立てば幸いです。

最後に、ゴールデンウィーク中に新元号の対応をされる方は本当にお疲れさまです。無事、作業が完了することをお祈りしております。