皆さん、こんにちは。
今回は、最近取り上げる回数の多い、Microsoft Intune の Windows Autopilot ネタになります。
最近、組織において、Windows Autopilot を導入しようとしているところが増えているのではないでしょうか。
今までの記事でもお伝えしているかもしれませんが、Windows Autopilot は Configuration Manager (Microsoft Configuration Manager) を用いた OSD (Operating System Deployment) とは異なり、メーカーから出荷時の工場出荷時のイメージにカスタマイズ (プロビジョニング) を行っていくことが基本になります。
ただ、メーカーによって、工場出荷時のイメージが異なります。また、自組織において、不要なソフトウェアや期待しないバージョンがインストールされている場合があります。
今回は、その代表例である、Microsoft 365 Apps for enterprise (Microsoft Office) について取り上げます。
一例ですが、Microsoft Surface の法人モデルのイメージには、Microsoft 365 Apps for enterprise がプレインストール (工場出荷時のイメージに最初からインストール) されています。また、64 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise がインストールされています。Microsoft としては、64 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise を推奨しているので、あたり前の状況かと思います。(この方針を否定しているわけではありません)
ただ、組織によっては、自組織で利用しているマクロ ファイルや互換性を考え、まだ、32 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise を利用している組織が多いのではないでしょうか。
その際に問題になるのは、Windows Autopilot の際に、プレインストールされている 64 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise から 32 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise に変更する必要があります。
では、どうすれば良いのかというのが今回の話題です。
<対処方法>
実は、Office Deployment Tool (Office 展開ツール) を利用された方なら分かるかもしれませんが、MigrateArch という属性値を使います。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/deployoffice/change-bitness
この属性は元々、既存の 32 ビット版 Microsoft 365 Apps for enterprise ユーザーが 64 ビット版にスムーズに切り換えることを目的に新設された属性になります。ただ、この逆である、64 ビット版から 32 ビット版へも対応可能です。
いや~、便利になりましたね。以前はこの属性が無くて、32 ビット版から 64 ビット版への変更が必要な場合は、既存の 32 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise を一度アンインストールする必要があったのですよね。(昔話)
<実際の対応方法>
一つの設定を変えてあげれば対応できます。
具体的には、Microsoft Intune の Windows アプリで、Microsoft 365 Apps (Windows 10 以降) を作成する際、もしくは編集する際に、[アプリ スイートの構成] にて、[アーキテクチャ] の箇所を [32 ビット] に選択するだけです。また、自組織で利用している更新チャネルがあれば、それも [更新チャネル] で選択します。
上記の対応をとれば、プレインストールで 64 ビット版の Microsoft 365 Apps for enterprise がインストールされていても、32 ビット版にコンバートされます。また、指定の更新チャネルにも変わります。
上記の内容を見て、なーんだ、それだけかと思ったあなた。今はこの設定だけで、64 ビット版 Microsoft 365 Apps for enterprise から 32 ビット版にコンバートできるのです。
では、なぜというところを深掘りしてみましょう。
<なぜ、構成デザイナーでアーキテクチャを選択しただけで、アーキテクチャがコンバートされるのか?>
では、上記の設定で Microsoft 365 Apps for enterprise を Windows Autopilot で展開してみましょう。
その後、下記のレジストリ値を確認します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\OfficeCSP
OfficeCSP の配下に、GUID のキーがあります。
ここの、[既定] の値を確認します。
<Configuration><Add Channel=”Deferred” OfficeClientEdition=”32″ MigrateArch=”TRUE”><Product ID=”O365ProPlusRetail”><ExcludeApp ID=”Bing” /><ExcludeApp ID=”Groove” /><ExcludeApp ID=”InfoPath” /><ExcludeApp ID=”Lync” /><ExcludeApp ID=”SharePointDesigner” /><Language ID=”ja-jp” /><Language ID=”en-us” /><Language ID=”MatchOS” /><Language ID=”MatchPreviousMSI” /><Language ID=”MatchInstalled” /></Product></Add><Display Level=”None” AcceptEULA=”TRUE” /><RemoveMSI /><AppSettings><User Value=”60″ Name=”defaultformat” Id=”L_SaveExcelfilesas” App=”excel16″ Type=”REG_DWORD” Key=”software\microsoft\office\16.0\excel\options” /><User Value=”52″ Name=”defaultformat” Id=”L_SavePowerPointfilesas” App=”ppt16″ Type=”REG_DWORD” Key=”software\microsoft\office\16.0\powerpoint\options” /><User Value=”ODT” Name=”defaultformat” Id=”L_SaveWordfilesas” App=”word16″ Type=”REG_SZ” Key=”software\microsoft\office\16.0\word\options” /></AppSettings><Property Name=”SharedComputerLicensing” Value=”0″ /><ExecCount xmlns=”http://schemas.microsoft.com/intune”>1</ExecCount><LastExecuteTime xmlns=”http://schemas.microsoft.com/intune”>1/21/2024 3:28:53 AM</LastExecuteTime></Configuration>
特段設定はしていませんが、[MigrateArch] 属性が “TRUE” になっていることが分かるかと思います。これにより、64 ビット版から 32 ビット版のコンバートが可能になるというわけです。
<まとめ>
今回、このブログ記事をまとめるにあたり、構成デザイナーでは無理だから、MigrateArch 属性入りの XML ファイルを作って、インポートしようと思いましたが、最近の Microsoft Intune は考慮されているようで、普通に構成デザイナーからだけでできたので、良い意味で拍子抜けしましたね。皆さんも、Microsoft Surface 等の Microsoft 365 Apps for enterprise がプレインストールされているマシンでの対応はこの記事を思い出していただければと思います。