英語 WIM ファイルを使用した OS 日本語化

皆さん、こんにちは。

今回は、OS 展開ネタを取り上げたいと思います。OS 展開の基本編については別記事で紹介していますので、もし良ければご覧ください。

SCCM を用いた OS 展開 – 基本編

今回のテーマは、英語の WIM イメージ (OS イメージ) を使ってタスク シーケンス内で OS を日本語化させる方法です。外資系企業等では、HQ の作成したマスター イメージを用いて各地域向けの設定を行い OS 展開を行っているケースがあるかと思います。その際に、OS を日本語化する方法をご紹介します。このテーマは前職時代に取り組んだテーマです。このブログが少しでも役に立てば幸いです。昔参照した海外のブログ記事を探したのですが、当時の記事が無かったので、最新の記事を貼り付けておきます。

– 参考にしたサイト
How can I install Windows 10 language packs offline with an MDT Integrated Task Sequence in System Center Configuration Manager (Current Branch) [windows-noob.com]

【用意するもの】

・SCCM 環境 (今回取り上げる環境は SCCM CB 1802 ですが、SCCM 2012 R2 環境でもできます。)

・Microsoft Deployment Toolkit (MDT)

英語 OS の WIM ファイル

・OS 日本語化用応答ファイル

・日本語言語パック

【Microsoft Deployment Toolkit (MDT) インストール】

OS の日本語化をする際に、言語パックを適用するフェーズで Microsoft Deployment Toolkit (MDT) を使用するので、事前に SCCM サーバーに MDT をインストールします。

  1. Microsoft Download Center より MDT をダウンロードします。
    – 各バージョンごとのダウンロード場所
    Microsoft Deployment Toolkit (MDT) 2013 Update 1 Version 6.3.8298
    Microsoft Deployment Toolkit (MDT) 2013 Update 2 Version 6.3.8330
    Microsoft Deployment Toolkit (MDT) Version 8450今回は最新版の Version 8450 をインストールします。

    Windows Server 2016 環境にインストールするので、64 ビット版をダウンロードします。
  2. インターネットからダウンロードしてきたファイルには、Zone ID が付与されているので、インストール前に解除します。ファイルを右クリックして、[プロパティ] を選択します。
  3. [プロパティ] 画面で、[ブロックの解除] を選択します。
  4. ブロックの解除後、ファイルを選択し、右クリックで [インストール] を選択します。
  5. インストール ウィザードが表示されますので、[Next] を選択します。
  6. [End-User License Agreement] を読み [I accept the terms in the License Agreement] にチェックを入れ、[Next] を選択します。
  7. [Custom Setup] では、既定のまま、[Next] を選択します。
  8. [Customer Experience Improvement Program] では、既定のまま、[Next] を選択します。
  9. [Install] を選択し、インストールを開始します。
  10. インストールが完了すると下記画面が表示されますので、[Finish] を選択し、ウィザードを閉じます。

【SCCM へ Microsoft Deployment Toolkit (MDT) を連携させる】

MDT インストール後、SCCM に MDT を連携させる必要があります。

  1. スタート メニューより、[Microsoft Deployment Toolkit] > [Configure ConfigMgr Integration] を選択します。
  2. [Configure ConfigMgr Integration] ウィザードが開きますので、[Site server name] にサイト サーバー名および [Site Code] に正しいサイト コードが設定されていることを確認し、[Next] を選択します。
  3. SCCM への連携が正常に完了すると下記画面が表示されますので、[Finish] を選択し、ウィザードを閉じます。

Microsoft Deployment Toolkit (MDT) パッケージの作成】

SCCM のタスク シーケンス内で MDT を使うためには MDT パッケージおよび Settings パッケージを作成する必要があります。ダミーの MDT タスク シーケンスを作成し、MDT パッケージと Settings パッケージを作成します。

  1. Configuration Manager コンソールを起動し、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] >[オペレーティング システム] > [タスク シーケンス] を開きます。
    [Create MDT Task Sequence] を選択します。
  2. [Create MDT Task Sequence] ウィザードが起動しますので、[Client Task Sequence] を選択し、[Next] を選択します。
  3. ダミーのタスク シーケンスを作成しますので、適宜名前を設定してください。
  4. [Organization name] を入力し、[Next] を選択します。
  5. [Capture Settings] は、[This task sequence will never be used to capture an image.] を選択し、[Next] を選択します。
  6. [Boot Image] にて既定のブート イメージを選択します。[Browse…] を選択します。
    [Boot Image (x64)] を選択します。


  7. [MDT Package] にて、MDT パッケージを作成します。このステップは重要なステップになります。
    [Create a new Microsoft Deployment Toolkit Files package] を選択し、MDT パッケージを保存するフォルダーを UNC パス (\\ServerName\share\Microsoft Deployment Toolkit Package\ のようなパス) で指定します。

  8. [MDT Details] にて MDT パッケージの必要事項を記入します。
  9. [OS Image] では、事前に追加してある OS イメージを選択します。(OS に特に指定はありません。)
    OS イメージの登録の仕方は SCCM を用いた OS 展開 – 基本編 でも紹介しています。


  10. [OS Image Index] では、WIM ファイルに複数イメージ収録されている場合に選択します。ここでは、Windows 10 Enterprise を選択します。
  11. [Deployment Method] では、[Perform a “Zero Touch Installation” OS deployment, with no user interaction.] を選択し、[Next] を選択します。
  12. [Client Package] では、SCCM に既定で用意されている SCCM クライアント パッケージを選択します。[Browse…] を選択し、[Microsoft Corporation Configuration Manager Client Package] を選択します。


  13. [USMT Package] でも、SCCM に既定で作成される USMT パッケージを選択します。
    [Browse…] を選択し、[Microsoft Corporation User State Migration Tool fo Windows] を選択します。


  14. [Settings Package] では、MDT パッケージを使う際に必要な Settings パッケージを作成します。このステップも重要なステップです。
    パッケージを保存するフォルダーを UNC パスで記載します。
  15. [Settings Details] にて、Settings Package の必要事項を入力します。
  16. [Sysprep Package] では、[No Sysprep package is required] を選択します。
  17. [Summary] にて設定内容を確認し、[Next] を選択します。
  18. 正常に完了すると下記のような画面が表示されますので、[Finish] を選択してウィザードを閉じます。
  19. Configuration Manager コンソールにて、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [アプリケーション管理] > [パッケージ] に移動すると先ほど設定して MDT パッケージと Settings パッケージが作成されています。

【日本語用応答ファイルの作成】

英語 WIM ファイルを用いて、OS 日本語化をする際には、応答ファイル (answer file) が必要になります。

  1. Windows System Image Manager がインストールされたコンピューターにログオンします。(SCCM サーバー上または、Windows ADK をインストールしたコンピューター)
  2. 英語 WIM ファイルを作業用フォルダーにコピーします。
    (分かり易いように、ファイル名を install.wim から Win10_1709_English.wim に変えています。)
  3. スタート メニューより、[Windows Kits] > [Windows システム イメージ マネージャー] を選択し、Windows システム イメージ マネージャーを起動します。
  4. Windows システム イメージ マネージャーを起動後、[ファイル] > [Windows イメージの選択] を選択し、コピーしておいた WIM ファイルを選択します。

  5. WIM ファイルに複数のイメージがある場合は下記の画面が表示されますので、適切なイメージを選択します。今回は、[Windows 10 Enterprise] を選択します。
  6. カタログ ファイルが開けなかった旨のメッセージが表示されますので、[はい] を選択します。その後、カタログ ファイルの作成に数分かかります。

  7. [新しい応答ファイル] を選択します。
  8. [amd64_Microsoft-Windows-International-Core-10.0.16299.15_neutral] を選択し、右クリックで [パス 7 oobeSystem に設定を追加] を選択します。
  9. 右側の設定に全て [ja-JP] と入力します。
    各値の詳細は Microsoft-Windows-International-Core [Microsoft Docs] をご覧ください。
  10. 各値の入力が終わったら、[ファイル] > [応答ファイルを保存] を選択します。

【応答ファイルの SCCM パッケージを作成する】

応答ファイルをタスク シーケンス内で利用するには、SCCM のパッケージを作成する必要があります。応答ファイル用 SCCM パッケージを作成します。

  1. 先ほどの手順で作成した応答ファイルを共有フォルダーに格納します。
  2. Configuration Manager コンソールにて、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [アプリケーション管理] > [パッケージ] を開きます。
    [パッケージの作成] を選択します。
  3. [パッケージとプログラムの作成ウィザード] が起動しますので、[名前] を入力し、[このパッケージにソース ファイルを含める] にチェックを入れ、[参照] を選択します。
    応答ファイルが格納されている共有フォルダーを選択します。


  4. [ソース フォルダー] の設定を確認し、[次へ] を選択します。
  5. [プログラムの種類] にて、[プログラムを作成しない] を選択し、[次へ] を選択します。
  6. [設定の確認] にて、設定内容を確認し、[次へ] を選択します。
  7. 正常にパッケージが作成できると下記のような画面が表示されますので、[閉じる] を選択し、ウィザードを閉じます。

【日本語言語パックのパッケージ作成】

日本語言語パックを格納した SCCM パッケージを作成します。

  1. MSDN (Visual Studio) サブスクリプション等を用いてランゲージ パックおよび Features on Demand をダウンロードします。
    Windows 10 Features on Demand って何だ (新しいエディションではありません)  [山市良のえぬなんとかわーるど]

  2. SCCM サーバーにてランゲージ パックを格納する共有フォルダーを作成します。
    \\ServerName\share\LanguagePack\Japanese\Japanese\ja-jp

    \言語名\language-region

    というフォルダー構成にします。

  3. 日本語の Language Pack を作成した共有フォルダーにコピーします。
  4.  Features on Demand Pack もコピーします。

  5. Language Pack および Features on Demand Pack のコピーが完了すると下記のようになります。
  6. Configuration Manager コンソールにて、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [アプリケーション管理] > [パッケージ] を開きます。
    [パッケージの作成] を選択します。
  7. [パッケージとプログラムの作成ウィザード] にて、[名前] 等を入力し、[このパッケージにソース ファイルを含める] にチェックを入れ、[参照] を選択します。
  8. 更に [参照] を選択し、共有フォルダーを選択します。
    共有フォルダー選択の際に、language-region フォルダー (ja-jp) では無く、もう一階層上のフォルダーを選択します。


  9. [ソース フォルダー] に Language Pack が格納されたフォルダーを選択できたことを確認し、[次へ] を選択します。
  10. [プログラムの種類] にて、[プログラムを作成しない] を選択し、[次へ] を選択します。
  11. [設定の確認] にて設定内容を確認し、[次へ] を選択します。
  12. パッケージが作成されると下記の画面が表示されますので、[閉じる] を選択し、ウィザードを閉じます。
  13. Language Pack 用のパッケージが作成されたことを確認します。

【タスク シーケンスの作成 (編集)】

既に作成されたタスク シーケンスをベースに OS 日本語化を行っていきます。

タスク シーケンスの作成の仕方は、SCCM を用いた OS 展開 – 基本編 で紹介しています。

  1. Configuration Manager コンソールにて、[ソフトウェア ライブラリ] > [概要] > [オペレーティング システム] > [タスク シーケンス] を開きます。
    既存のタスク シーケンスを選択し、[編集] を選択します。
  2. タスク シーケンス エディターが開きます。
  3. [ディスクのフォーマットとパーティション作成] ステップを選択します。
  4. [追加] > [新しいグループ] を選択します。
  5. [グループ] が追加されますので、[名前] に [MDT] と入力します。
  6. [追加] > [MDT] > [Use Toolkit Package] を選択します。
  7. [Use Microsoft Deployment Toolkit Package] が追加されますので、[Browse…] を選択します。
  8. 先ほどの手順で作成した Microsoft Deployment Toolkit Package を選択します。

  9. [追加] > [MDT] > [Gather] を選択します。
  10. [Gather] が追加されますので、[Rules file:] に [CustomSettings.ini] と入力し、[Browse…] を選択します。
  11. 先ほどの手順で作成した Microsoft Deployment Toolkit Settings Package を選択します。

  12. [オペレーティング システムの適用] に移動し、[カスタム インストールで無人インストール ファイルまたは Sysprep 応答ファイルを使用する] にチェックを入れいます。
    [ファイル名] に先ほどの手順で作成した応答ファイルの名前を入力します。(Windows 10 Answer File ja-JP.xml)
    その後、[参照] を選択し、応答ファイルを格納したパッケージを選択します。


  13. [ネットワーク設定の適用] に移動します。
  14. [追加] > [MDT] > [Install Language Packs Offline] を選択します。
    注意: [Install Language Packs Offline] ステップは、[Windows 設定の適用] および [ネットワーク設定の適用] ステップの後に追加します。また、[Windows と ConfigMgr のセットアップ] よりも前のステップである必要があります。
  15. [Browse…] を選択し、先ほどの手順で作成した Language Pack Package を選択します。


  16. [Windows と ConfigMgr のセットアップ] ステップに移動します。
  17. [追加] > [全般] > [コマンド ラインの実行] を選択します。
  18. [名前] に [Japanese Keyborad Settings] と入力し、コマンド ラインに下記のコマンドをコピーします。
    応答ファイ ルで InputLocale を ja-JP に設定していますが、英語 WIM ファイルには日本語のキーボード レイアウトが入っていないらしく、reg コマンドで日本語キーボード設定を行ってあげる必要があります。

    reg add HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parameters /f /v "LayerDriver JPN" /t REG_SZ /d kbd106.dll & reg add HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parameters /f /v "OverrideKeyboardIdentifier" /t REG_SZ /d PCAT_106KEY & reg add HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parameters /f /v "OverrideKeyboardSubtype" /t REG_DWORD /d 2 & reg add HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parameters /f /v "OverrideKeyboardType" /t REG_DWORD /d 7

  19. [追加] > [全般] > [コンピューターの再起動] を選択します。
  20. [名前] を適宜設定し、[現在インストールされている既定のオペレーティング システム] にチェックを入れ、[再起動する前にユーザーに通知する] のチェックを外します。
    最後に [OK] を選択してタスク シーケンス エディターを閉じます。
  21. 後は、タスク シーケンスを [コンテンツの配布]、[展開] と行えば、OS 展開ができます。詳細は、SCCM を用いた OS 展開 – 基本編 にて紹介しています。
  22. OS が展開されると日本語化されていることを確認できます。Features on Demand Pack もインストールされています。

今回は長くなりましたが、英語 WIM ファイルを用いて OS を日本語化する方法を紹介しました。ここで紹介した内容が少しでも役に立てば幸いです。楽しい OS 展開ライフを!